京町家の活用事例

Vol.5 京町家でつながる文化交流の場 itonowaさん

Vol.5 京町家でつながる文化交流の場 itonowaさん

かつて花街があり繊維関係の街として栄えた島原エリアに,文化交流のスポットとして誕生したitonowa。地元の呉服屋が中心となり,建築家やデザイナーなど,まちづくりに取り組むメンバーを加えて,空き家となっていた明治の町家から中庭を挟んで昭和の建物へと続く33メートルの敷地が,糸にまつわる店舗やモノづくりのアトリエに生まれ変わりました。

コンセプトは「人と人がつながり,文化を楽しむ場所」。地域住民と生活を共にし,地域の文化を発掘することによって,自然と人が集まる仕組みができ,まちの活気の復活に一躍を担っています。

改修のポイント

京町家ならではの良さを活かすため,外観や間取りを出来る限り変えずにリノベーションに着手されました。構造上の安全を確保するための改善やデザイン面でのリニューアルを行いながらも,改築前の家屋で使用されていたガラスや瓦といった材料を再利用したり,建具屋で購入した古建具を使うなど,古くからある物を大切にしながら改装を行なわれました。また,商業施設として利用するために,屋外広告物規制について京都市に相談されるなど,周辺地域に対する配慮の気持ちも忘れずに取り組まれたそうです。

活用した事業

空き家の再生に伴う資金の調達方法を検討していたところ,京都市による空き家活用促進事業「空き家活用×まちづくり」モデル・プロジェクトの存在を知ったそうです。京町家を活用しながら地域とどのように関わるか,メンバーのアートディレクターと話し合い,さまざまな立場の方の協力も得ながらプロジェクトに応募されました。

表通りと裏路地に面した背中合わせの2軒の空き家を繋げ,東と西の二つの道路に接する一つの空間を施設として利用するという斬新なアイデアが評価され,厳選な審査を得て採択に至りました。

京町家から生まれる交流

施設内には,近所の商店や中央市場で仕入れた素材を使う飲食店,子ども向けデザインの着物店,骨董品店がプロデュースするギャラリー,古布を中心としたアンティーク店などが揃っています。施設開店の際は,地域の皆が集える場所になるために,自分たちの取組を知ってもらおうと,各運営メンバーと繋がりのある大学生たちの協力を得ながら,周辺の約600世帯へ直接挨拶に伺ったそうです。その甲斐もあって,高齢化が進み空き家が増す地域に,文化交流の場が生まれて賑わいを呼び戻しています。

島原は歴史や文化が残る地域。今後も,昔ながらの良さを大切にしながら新たな魅力を生み出したいとのことです。